2007,12,17
チュロットおばさんと、私たちが陰で呼んでいた女性である〔写真右〕。 私たちがチュロットおばさんと呼んだわけは、彼女がバフン族という身分からすれば,吸えないはずのタバコ〔チュロット〕をこっそりたしなんでいたからだ。
植林を始めたころ、この人の家へ行った。
植えた苗が枯れかけていた。私はつい強い調子で、
「水をやって下さい」
といった。
おばさんは黙って、私を台所へ案内した。一家が飲む水甕があった。彼女は蓋を取った。底にわずかに水が見えた。コップ一杯にもならないような量だった。
私はその水をかけろ、とは言えず、そのまま帰って来た。
当時に比べれば、今は水がある。木が増えたからだ。チュロットおばさんの家の周辺も、屋敷林が出来ている。
チュロットおばさんが、あの時水をやったかどうか、ついに聞けずにいる。